コーヒーには、旨味と甘味という、味覚の部分で表現される風味と、「りんごのような」「柑橘のような」「ナッツのような」という嗅覚の部分で感じる香味の複合的な表現が必要です。これらを分類して的確に話すことができるようになったのは、わたしがカッピングという、コーヒーのテースティングで行うテクニックと出会ったからでした。
コーヒーの味に関しての詳細解説(香味とは、風味とのちがい、味覚5味などそもそもの味についてのまとめ。コーヒー初心者も必見です)は、以下の記事で紹介しています↓。
おいしいコーヒーとはどんな味?と聞かれたとき、どう答えますか?
大半の人は、コーヒーのアロマをなんとなく「おいしい」というだけで、コーヒーの味を表現する、というようなことを考えたことすらないのが現実ですね。そもそも「コーヒーの味」と意識するほど口当たりやのどごしで別の何かを強く感じることは、レギュラーコーヒーではほぼないですから、表現の意識すら芽生えないのはしかたがないことでもあります。
しかし、高級コーヒーとしてランクされるスペシャルティコーヒーを飲むようになると、コーヒー共通のアロマを感じる以外にもたくさんの「何か」を感じることができます。その「何か」を言葉に表現していくのが、コーヒーのテースティング技術・カッピングです。
スペシャルティコーヒーについての解説は、以下の記事↓
◆必要なのは、スプーンだけ
カッピングとは、専用スプーンを使ってコーヒー液を強烈にすすってその味を判別することをさしますが、コーヒーのテースティング、コーヒーの品評プロセス全体をさすような使われ方がされています。スコアシートの内容とスコアの方法は、知ってると面白いですが、スプーンを使ってコーヒーの香味をよりはっきりと感じることがまずは大事です。
必要なのは、スプーンだけ。専用スプーンならなおよし。
専用スプーンとは、こんな感じです。
底が他のスプーンよりもやや深めになっています。
◆コーヒーの味に対する視点が変わる
カッピングをやってて良かった、と感じる瞬間は、コーヒーのもつ果実としての香りを感じ取ることができたときです。のどごしではなかなかわからない、フルーティーさやナッツの香り、スパイシーな甘さなど、複雑なコーヒーのフレーバーをキャッチすることで、コーヒーに対する見方がまったく変わってしまいますね。
見方が変われば、おいしいコーヒーを飲むにはどうしたらよいだろう、ともっと考えるようになります。視点の変化が求められるのです。私はカッピングをするようになって、自分の舌にインプットされていた「おいしいコーヒー」の味を根本から見直すことになりました。
ワインを楽しむ人が、ワインのテースティングを覚えることで香りの表現を知り、楽しむ幅を広げていくように、カッピングはスペシャルティコーヒーを楽しもうと思う人にとっては必須スキルだと感じてもいます。スペシャルティコーヒーの香味は、のどごしだけでは感じることができない繊細なものがたくさんあります。カッピングで味覚を鍛えると、のどごしでも味がキャッチできるようになってくるのです。そうやって感じ取る香味をショップの人に伝え、価値を共有することで、コーヒーのレベルアップがはかられると感じています。
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